泣き声を必死に堪えている、聞いているのが辛い声だった。
「秀くんもね………?もう喋れないんだって。」
私は、勢い良く、体をベンチから引き離した。
手足がガクガクと震えて、執拗に私の体を蝕んでいた。
「声帯の損傷がひどくて…………もう話せないって。」
お母さんの横顔が震えてぼやけて見えなくなる。
頬が、次から次へと涙を滑らせてゆく。
お腹の下辺りから突然ぐぐっと、力が加わって口から嘔吐物が吹き出した。
「煌………?!」
驚きを隠せなそうに背中を擦る、お母さんの暖かい掌を感じながらふるふると首を振った。


