俺はどうしようもなく彼女にひかれていた。
繰り返し思い出す彼女との思い出。
初めて告白したときのはにかんだ笑顔。
夜景を見に行って、指輪を渡した時は涙を流して喜んだっけ。
7年間の思い出が頭を駆け巡る。
だけど俺は彼女を裏切ってしまった。
野心に負けて、社長の娘を選んだんだ。
彼女は思い出の場所に俺を呼び出した。
俺は、本当は彼女を愛してると伝えたかったけど、もはや何も言えなかった。
彼女は、泣いてるような笑ってるような顔で
「あなたと幸せになりたかった。でももう手遅れだしね。」
そう言い残すと、車を走らせた。
彼女の去った後は、恐ろしいほどの静寂が訪れた。
俺は結局、どちらとも結婚しなかった。