あの日から毎日、涍とはメールをしている。


学校から帰ってきて、ただいま、とメールを送るのも日課。おかえり、と答えるのも日課。


恋の相談もたくさん受けた。


大概は美久のいちゃいちゃ度の高さ。でもたしかに彼氏がいるのにあれはないと思う。


ボディータッチとか多すぎだし。


そして、いつしか私たちは異性の友達の中で一番仲のいい存在となっていた。


友達以上恋人未満、というやつだ。



今は下校中。


駅から自転車を押して歩いている。



理由は、自転車の後輪がパンクしたから。


(ついてないなぁ...)


原因は一本だけ刺さっている画鋲。


どこかで踏んだのだろう、しっかりと根元まで刺さっていた。



だいたい家まであと半分のところぐらいまで来た。



が、まだ半分残っている。



はあ...



とため息をつき、近くの電信柱にもたれる。



ちょっと休憩...



「よう、何してんの?」


「あ、涍。」


「うっす。んでこの状況は?」


と面白いものを見るような目で言う涍。


「ああ、自転車パンクしちゃってね。歩いてたんだけど、疲れたからちょっと休憩。涍は?」


「俺も家、こっち方面なんだよ。つーか、そのパンク。お前明日からどうするんだ?」


あ、そっか。んー、母さんに言えば車に乗せてもらえるかな?


「わかんない」


「....直してやろうか?」


「えっ!直せるの?!」


「俺んち、自動車の工場だから。自転車くらいなら直せる」


「ほんと?!助かります!!」


「ん。遅くなるかもしれないから親には連絡しとけよ」


「ほいほい!」


母さんへ

《涍に自転車直してもらうから帰るの遅くなる!》


これでよし。


そうして私たちは涍の家に行った。