「彼女、取られてんじゃん。奪い返しておいでよ」


「あー。うん。そうだなー... 」


「行かないの?」


「....お前、元気ないし。もう少しこっちにいてやってもいいよ?」


そういい、ニヤッと笑った。


「なっ!別に頼んでないもん!まあでも、仕方ないから居させてあげるよ」


私もニヤッとすると、


「お前、真似したな!」


「うん、マネマネの術なりー!」


「このやろっ」


「やだー、髪の毛ボサボサにしないでー!」



さっき、私が元気ないからって言ったけど、嘘だと思う。(いや、嘘ってわけでもないけど)


涍も、あの2人を見るのが嫌だったんじゃないかな。



そう思ったら、自然に頭をなでなでしてた。



「お、おい」


「んー?」


「何してんだよ」


「なにって...なでなで?」


「....ガキかよ」


うん、ガキでいいんだよ。

辛かったら声出して泣いてもいいんだよ。

そういう思いを込めて、精一杯微笑みながらなでた。


「...さんきゅ。遊はいつも助けてくれるな」


そんなことないよ。


「いえいえ。...メール、いつでも待ってるよ」


「ああ。了解」


このときの私たちは、悲しいはずなのに幸せで、凄くふわふわした気持ちになっていた。


が、美久がすごい形相で睨んでいるのを見て、目が覚めた。


私は人の彼氏に何してんだ。


「あ、ご、ごめん」


「いや、俺こそごめんな。かっこ悪いとこ見せて」


「全然かっこ悪くなんかないと思うよ」



ピーンポーン



あ、美香かな?


「おじゃましまーす...って、これどういう状況?」


美香から見た状況っていうのは


私と涍→二人で固まっている。

美久と裕太くん→距離が近いぞこら。


ってことだと思う。



事情ってほどのものもないし、適当にはぐらかした。信じてはないと思うけど、言葉では納得してくれて、たこ焼きを食べてた。



______




「今日はありがとうございました」


「いえいえ。また遊びに来てね!私も楽しみにしてるわ!」


「母さん五月蝿い。...じゃあみんな、また明日」


「はーい!またね!」


「「「おじゃましましたー」」」