少女の願い

『ははっ。違うよ。よく言われるけどね。』

ウインクをしてから、ポケットを探る。

『落とし物を届けに来たんだ。』

「…なぁに?」

僕はポケットから、少女が書いた手紙を取り出して渡した。

手紙を広げた少女の肩が、小刻みに震えだす。


「これ…私が書いたものだわ!サンタさんが、落として行っちゃったんだ!」

顔を上げた少女の目には、瞬きしたら零れ落ちてしまう程の涙が溢れていた。