少女の願い

「おにぃちゃんの手、冷たいね。氷みたい。」

そう言って、少女は小さな手袋を片方、僕に差し出した。

『貸してくれるの?』

「うん!」

『…ありがとう。優しいんだね。』

「ふふっ。」

少女は、満足そうに笑った。

僕には、少女の笑顔が痛かった。何だか、後ろめたい気持ちになる。