【超短編 05】二日遅れのクリスマス

 それが僕が生まれてから一度だけもらったことのあるプレゼントだった。
 次の年からプレゼントは、なかった。

「たくさんあげると、最初のありがたみが薄れるでしょ。」

 そのときは、がっかりしたが、今は、何となくわかる気がする。そのことも彼女に話したら

「あなたもそうしてるじゃない?」

と言われてしまった。
 理由は、他にあるのだけれど、確かにそうだったので言い返さなかった。
 今ごろ彼女は、26日のためにケーキを焼いているはずだ。
 仕事に行く前に携帯で声を聞きたかったけれど、一生懸命メレンゲを作っている最中かもしれないからやめた。
 すると、彼女からメールが入ってきた。

メリークリスマス

 それだけだった。僕は、返信のボタンを押して、一度彼女の言葉を消し、それから同じ言葉を入れなおしてから、送信した。
 時計を見る。そろそろ出かける時間だ。
 部屋着から着替え、朝までかかった荷物を持って外に出る。
 小屋から顔を出して、雪の上を走りたそうな顔をしているので首輪をつないで外に出してやる。
 うれしそうに走り回るのを横目に荷物を荷台に詰め込む。

「さて。」

 首輪に綱出をつけて、僕は、ソリに乗り込む。
 綱出をひくと、赤い鼻のトナカイは、月の出た空に向かって走り出した。