「すぐ病院連れていこ。」

両親はすぐに子猫をタオルでくるみ、我が家がいつもお世話になっているかかりつけの動物病院へと向かった。
私も行きたいと言ったのだが、何故か妹と留守番をする事になってしまい、私はただただ、あの子猫の目が見えるようになってほしいことと、そして衰弱したあの状況から生き延びて欲しいと願い、帰りを待った。

それから2時間ほどで両親が帰ってきた。
話によると、昨夜の雨による風邪や衰弱、栄養失調、そして目は膿んでいたらしく一生見えないかもしれない、との事だった。
お薬には錠剤の飲み薬と、目の膿を取るため、そして見えるかもしれないというわずかな希望のある目薬をもらって帰ってきた。

目の膿は両方の子猫にあったらしく、酷いのはその片方の子だった。

「もし目が見えないようだったら里親は無理やね。」

母親の言葉が少し悲しく聞こえた。

「この子達は我が家で面倒見てあげよう。」

母親の言葉に対して父親はちょっと穏やかに、でも強くそう言って、タオルに包まれて眠る子猫を見た。

「じゃあさ、名前付けよう。」