住宅地にある赤い屋根の家…。


朝早くのこと



「しーおーん!早く起きてよっ」

黒い胸辺りまでのふわふわの髪の少女が、二階の部屋の扉を叩く。


開ければ済む事なのだが、生憎鍵が掛かっているようだった。



「蓮ちゃん、紫苑まだ起きないの?」

黒の肩より上までのふわふわの髪をした少年が、眠そうに欠伸をしながら言った。

「あっ、藍。おはよう…だって紫苑ってば、鍵掛けたまま寝ちゃうんだもん」

「蓮ちゃんも遅れるよ?瑠璃ちゃん呼んでくるから、朝ご飯食べなよ」

少年、藍は階段を降りて行きそれに蓮も続いた。




リビングに行くと、長い黒髪を後ろで一つに三つ編みをした少女がキッチンに立っていた。


「蓮、藍朝ご飯出来てるから」
少女はリビングに入って来た二人を見て言った。


「うん、いただきます。あとね、紫苑をまた起こしてくれない?」

「またか…分かった」

「あっ、じゃあ僕は緋桐起こすよ」


少女は溜め息を吐くと、藍と一緒に階段を上がった。





ーコンコンッ

「紫苑…早く起きて」

少女、瑠璃は扉をノックするがそれでもこの部屋の中にいる人物が起きない事は分かっていた。

「朝ご飯無くなるけど…いいの?」

瑠璃がそう言った瞬間、扉の向こうでガタッと物音がした。



その音に瑠璃は笑みを浮かべると、階段を降りて行った。






「あ、瑠璃。いってきます!」
蓮は玄関で靴を履いて出る所だった。

「いってらっしゃい、また後でね」




見送った後、すぐに藍と二人の少年がリビングに入って来た。




「…っくあ、ねむ」
眠そうに欠伸をする少年は、椅子に座ると朝食を食べ始めた。

少年の右目の下には泣き黒子があり、それとは反対に瑠璃には左目の下に泣き黒子があった。

瑠璃とこの少年は顔だけはとてもよく似ていた。

もう一人の少年は、黒のはね気味の髪に金色のメッシュが何箇所かはいっていた。


「私もそろそろ出るけど、遅れないようにね」

瑠璃の言葉に、藍も立ち上がる。

「鍵閉めてね?」


「は〜い、分かった?緋桐?」

「何で俺だよ!お前のほーが絶対出るの遅いだろ?」

「仲良く二人で来るんだよ?」

藍はそう言い残し、先に出た瑠璃の後を追った。