ある雨の日…昼間だというのに、外は暗く雷の音が響いていた。
「ままっ…かみなり」
赤い瞳の少女はまだ若い女性に抱きつく。
「大丈夫大丈夫。もうすぐお父さんも帰ってくるからね」
女性は少女の頭を撫で、そして少し離れた所で座るもう一人の少女を呼ぶ。
「るりちゃんも皆と行けば良かったのに…」
少しつり目の灰色の瞳の少女は、振り返り首を横に振る。
「れんひとりじゃつまんないでしょ…風邪なんだから仕方ないよ」
その言葉にれんと呼ばれた赤い瞳の少女は、嬉しそうに笑顔を浮かべて少女に抱き着いた。
「るりっ、ありがと!」
そんな二人を見て母親は微笑む。
「さっきもうすぐ着くって電話あったんだけど…遅いわね」
そう言った時、家の前で車の止まる音が聞こえる。
「あっ、ぱぱ帰ってきたのかな!」
れんはぴょんっと立ち上がって、玄関へ向かう。
「れんちゃん、外雨降ってるわよ!」
れんは止める声も聞かずに玄関の扉を開けた。