応接間の様な所で四人がソファーに座って待っていると、しばらくして眼鏡をかけた男が水戸と蓮を引き連れ入って来た。


「みんなっ…!」

蓮は泣きそうになりながら、瑠璃に抱き着いた。

瑠璃は優しく蓮の背中を撫でると隣に座らせた。



「では改めまして、僕は柊だよ。国立ヒストリア魔法学園、魔法科学部の代表だ。ちなみに医療班も兼任しているよ。彼女は僕の助手の水戸さん」

にこやかに挨拶をする柊を、水戸は横目で見ながら

「水戸だ、よろしく。まだ全員混乱しているだろうが、話をさせてもらう」

「頼んだよ水戸さん」

柊はそう言うと、一人掛けのソファに腰掛けた。


「君達自身の話だが、まず君達は魔法と言う能力を使う事が出来る。自覚は無いだろうが…君達のご両親もそうだ。先程私の力で、君達の能力を見させてもらったが…全員とても素晴らしい能力を持っている」


「ちょっと待ってください!魔法なんて何言ってるの?そんなの絵本の中での話でしょ?」

蓮は全く信じる気も無い様だ。

「他の子達は信じてるみたいだよ」


「え…嘘よね?みんな信じてるの?…瑠璃も?」

蓮は驚いた顔で瑠璃を見た。

「蓮が怪我をした所は皆見ていた…けど、今傷一つ無いから、魔法と言うもので助かったんだと思う」

「そうだよ蓮ちゃん…昔、お父さんとお母さんが死んだのも魔法が原因だと思う」





「その通りだ。魔法使いの中には人間の様に悪人だっている…魔法を悪用する者が」

「あたしはその悪い魔法使いに襲われたの…?どうして?」

蓮は話を理解してきた様で少し落ち着いてきた。


「君達の様に人間ばかりの場所で暮らし、学校に通っている未成年の魔法使いはめったに居ない…どこからか君達の様な魔法使いがいる事を知った悪い魔法使いが君を襲ったんだろう」


「おそらく…」

柊が口を開いた。

「これからもっとそんな者が増えてくるだろうね」


「じゃあ、どうしたら良いんですか?俺たちにだって生活があります」

紫苑が少し責めるような口調で言った。








「少し…生活は変わってしまうが、君達が安全にそして学生らしく暮らせる方法がある」




柊はにこりと笑って立ち上がると、





「ここ、国立ヒストリア魔法学園へ通う事だよ」





少し大袈裟に両手を広げてそう言ったのだった。