紫苑は案内されある一室へ入った。
そこは医療器具らしきものが並んでいて、診察台へ寝かされた紫苑はまだ少し緊張していた。
「少し見させてもらう。楽にして」
水戸は紫苑の身体に触れずに手をかざす様に胸辺りから足先までゆっくり動かした。
その水戸の手にはぼんやりとした白い光が現れていた。
「はい、終了だ。何も異常はないようだね」
呆気なく終わった事に紫苑は内心驚いていたが、それを表情には出さず診察台から降りた。
「君の妹さん、華宮蓮さんは傷を負っていたが、うちの医療班が治したから問題はない。後の子達も見たけど怪我はない様だったけど、起きてからもう一度検査を受けてもらうよ」
水戸はそう言うと、「戻ろうか」と部屋を出て行こうとした。
しかし扉が開き、白衣を着て眼鏡をかけた優男と、瑠璃、藍、緋桐が入ってきた。
「紫苑っ…」
瑠璃は紫苑の顔を見ると、安心した様に紫苑に駆け寄った。
「検査が終わったの?」
「うん、丁度今ね」
紫苑は瑠璃の頭を撫でると、藍と緋桐を見た。
「な、なあ紫苑…俺まだよく分かんねえんだけど」
緋桐は頭が混乱している様で、不安そうに紫苑を見つめる。
「僕は覚えてるよ…昔と同じだよ。お父さんとお母さんが死んだ時と同じ」
藍はどこか落ち着いていて、瑠璃を見た。
「瑠璃ちゃんも思ったよね…?」
「ああ。確かに…蓮を襲った男は、二人を襲った男とは違ったけど同じ様な力を使っていた。それが、魔法と言うもの…か」
瑠璃は考え込む様に下を向く。
「水戸さん、この子達には僕から話しました。検査をお願いします」
「ああ」
一人ずつ紫苑と同じ様に水戸が検査をした。
異常無く終わり、別の部屋へ全員移る事になった。