午後の授業中、紫苑は小さく欠伸をした。


「(ねむ…)」


教科書を開いているが、ノートは開いておらずぼーっと窓から運動場を見つめていた。


そこには、妹である蓮の姿があり丁度サッカーの授業だった。


蓮のチームは試合中では無く、蓮は他の女子と話をしていた。



「(あー、次おれらもサッカーじゃん…)」


授業内容など頭に入ってくることは無く、マイペースにもそんな事を思っている紫苑だった。


「(そー言えば、進路希望の紙…出してないや)」






そう紫苑が考えている時だった…。










「キャーッ…!!」と、運動場の方から叫び声が聞こえた。




「な、に…」

紫苑だけでなくクラスメイト皆が窓から外を覗く。





そこでは、先ほどまでサッカーをしていた生徒たちが不審な一人の男と対峙している姿があった。



そして…





「れんっ…!」


ガタッと椅子から紫苑は立ち上がり、教室を飛び出した。



「おいっ、華宮!」

教師の止める声も聞こえないかの様に走り出した。




廊下を走っていると、同じように教室を飛び出してきた瑠璃、藍、緋桐と合流した。


「なあっ…何が起きてるんだよ!蓮がなんかっ」

緋桐は混乱し、尋ねた。

「分からない…けど、今は蓮の所に早く」
瑠璃は少し顔色が悪かった。





とにかく皆走り、そして人が集まる中心へと行った。