風見透が帰った後も、私は動くことが出来なかった。
確かに自分は甘かった。それにあいつの言うように、自分のためにどれだけ必死になって帰り方を探してくれていたかなんて、考えても見なかった。
自分の事ばかり考えて、元の世界の家族の事も考えていなかった。
「だからそんな奴しか捕まらない…か」
自分は何も成長していなかった。だから元カレに似たそれこそクソみたいな男に惚れかけて、また悔しい思いをした。
どんだけ自分は馬鹿だったんだ…。
「ふっ…う…」
あんな風に人に叱られたのはいつぐらいぶりだろう…。
私はただ、子供みたいに泣くことしか出来なかった。
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「最、悪…」
あーあ、目がすっかり腫れちゃってる。どんだけ泣いたんだ自分。
鏡を見ていたら外に出たくなくなるから、敢えて見ないようにして素早く支度を済ませた。
いつもと景色はなんら変わりないけど、何だか新鮮な気がした。これも風見透のお陰だろうか…。
自分の甘さを気付かせてくれた。だけど、あんな風に叱られた後に顔を合わせるのは勇気が必要だった。
もしかしたら嫌われたかもしれない。あの心底呆れたような目は本気だった。あぁ、マジでそうだったらどうしよう。
変態と言えど、一応あいつが居たお陰で今まで住んでこられたようなもの。
村の人達が声を掛けてくる度に、風見透が上手いこと言って話を反らしてくれたし、怪しい人物扱いされなかった。
村以外の人は、警戒されてしまうから…。
思えば、風見透には本当に助けて貰ってばっかりだったんだな。それをさも当然のように助けて貰っていたなんて、マジで恥ずかしい。
一言でも良いからお礼が言いたい。でも、もう風見透には嫌われてしまったかもしれないし…。
「………って、いつまでもくよくよしてると思ったら大間違いだからなー!!何処だー、風見透!出て来…」
「煩い。こんな朝っぱらから大声で叫ばないでくれる? 近所迷惑だよ」
大声で風見透を呼んでやった。そしたら昨日のように呆れたような顔で、後ろに降り立つ風見透。
素早く振り返り、そのまま頭を下げる。
「昨日はサンキュー」
「は?どうしたの急に」
「アンタには大切な事を教えて貰ったから」
「……?」
「分からないなら別に良い」
「あっそ」
「これからもどうか宜しく。…と、おる」
「…!」
私が何を言ってるのか本気で分かっていないような風見透…いや、透にもう一度頭を下げたら、透は目を見開き固まっていた。
ハハハ、やっぱりこの男は馬鹿だ。
「え、何? 雪降る?」
「はははははははは!」
「……(汗)」
いつもと同じムカつく口調。
でも不思議と嫌じゃなかった。
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