「アンタさ…」
「なに?」
「何でいっつも髪の毛ぼさぼさなの? 超怪しいんだけど」
閉店ギリギリだからお客さんも、目の前でみたらし団子を頬張る風見透以外誰もいない。
掃除も終えたから、今日はもう上がって良いとは言われたんだけど、風見透の奴がそれなら話し相手になってと、向かい席に座らせた。いつもなら帰ってやるところだが、今日は珍しく居てやっても良いかなとも思い、結局こうして話し相手に。
大した収穫はないが、強いて言えば、いつも寝癖ぼーぼーな髪型が、団子を食べる時だけは頭のてっぺんで一つにまとめられているという何とも面白い姿を見ることが出来たということだろうか。
「アンタって童顔なのね。髪ばっかで顔ちゃんと見てなかったけど」
「かわいいだろ」
「キモ…」
「冗談」
だけど実際は頭ちょん曲げで団子をおいしそうに頬張るその姿が、意外と可愛かった。
ぼーぼーなのはなんだかもったいない。いつもそうしてりゃ、良いのに。
「アンタそんなんじゃモテないよ?」と言ってやった。そしたら「興味ない」と口を開いた。
「別に自分が惚れた相手以外にモテても嬉しくないでしょ。逆に困る」
「へぇ…」
チャラそうで意外と真面目なんだ。
とにかくモテてないと仕方がない元カレとは正反対。所謂チャラかったんだ、アイツは。
思い出してまたため息。
「今日、ため息多いな」
「そう?」
「あぁ。今ので29回目」
「数えてたの?」
「嫌でも気になる。何? 好きな奴でも出来た?」
「…!」
たまにこの男の勘の鋭さが怖くなる時がある。
でも素直に認めるのが悔しかったから、別にと答えた。
「ふーん…。ところでさ」
「何よ?」
「何で働いてんの? 長老からいくらかもらってある筈だから、そんなに困らないと思うけど?」
「流石に頼りっぱなしじゃいけないでしょ。いつか帰るときに返さないとだめだし」
自分で言っときながら、帰るつもりあったんだと苦笑い。
向こうの世界で私が死んだことになってるってことは、まだ伝えられていない。
「へぇ…。キミって変わってるね」
それだけ言って、ごちそうさまと手を合わせる風見透を、ボーッと見ていた。
.

