ワンコと私






「ハァ…」



つくづく自分がバカだと思った。

あんなに怒ってあんなに泣いてあんなに後悔して、そして二度と恋なんかしてやるもんかと誓ったのに…。

元カレに瓜二つな悠太さんに惹かれている自分。名前も同じだから、さん付けで呼ぶのも不思議な気がする。

正直、悠太さんとどう接したら良いか分からなかった。
悠太さんには悪いけど、自分でも避けてるのが分かる。注文を受けるのが何よりも嫌だった。

あの人は悠太さんであって元カレじゃないのに…。何だかなぁ。

ため息の数も多くなった。だけどそれ以上にドキリと胸が跳ねる事の方が多かった。



――ガラッ


「…いらっしゃいま、せ」

「あ、美希ちゃん。こんにちは」

「こんにちは…」



今日もまた来た…。

ドキッとする胸。別に来るのは自由だし、来てくれる回数が多いほど店としては嬉しいのだけれど、個人的にはあまり来て貰いたくないのが正直なところ。

個人的な感情で営業スマイルさえろくに出来ないなんて。あーぁ、バイト失格だわ…。

なんて本日何回目かになるため息を溢しながら、注文を受けに悠太さんのテーブルへ。

そこで1つ気付く。今日は悠太さん一人だけじゃない。

さっき店に入って来たとき、全然気付かなかった。



「こんにちは」

「あ…、こんちは!」



その人は女の私から見ても本当に可愛いらしい笑顔を見せていた。

直感で分かった。この人は悠太さんの彼女。



「美希ちゃん?」

「…ハッ!あ、すんません。えと、注文は…?」

「えーっと俺は…――」



いつも1つだけの串団子が2つ。二人が会話するその姿に、胸が切なくなった…。








「――よっ」

「…いらっしゃいませ」



なんでこの男は、いつも閉店ギリギリになってくるんだろうか。しかも片手を上げて軽く挨拶をしながら。

もういっそのこと店から追い出してやろうか。



「あ? 何かキミ元気なくない?」

「アンタの顔を見たからかな」

「ハハ、相変わらず酷いなー」



口でそう言ったって、対して気にしていないのなんか丸分かり。「何にしよっかなー」とメニューをみながらブツブツ言ってる。
白々しい…。どうせいつもと同じ癖に。



「じゃあ、みたらし団子で」

「はいはい…、畏まりましたっと」



あぁ、超萎えるわ…。






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