「ここがキミの部屋ね」

「へー、以外と広いじゃん」

「じゃ、行くよ」

「うん…? って、ちょ…だから引っ張るなって言ってんだろ!」



結局帰る方法が見つかるまでこの村で過ごすことになってしまった私。
今は部屋の場所の確認と、生活用品の買い物に行っている最中である。



「……」

「……ハァ。あのさ、早く決めなきゃ日が暮れるよ?まだまだ寄らなきゃ行けないとこあるのにさ」

「分かった、分かったからもうちょい待って」

「ハァ…」




んなため息つくなよ、感じわりーな。
てか、だってそんなに此処に居座るつもり無いのに、高いもの買ったって意味無いじゃん?(お金については見たこともないものだったから、さっき教えてもらった)
かといって値段重視でいくと変な物しかないし…。
それにこのお金、自分の物じゃないし?
それぐらいの常識は私にだってあるんだよ、ばーか。



「よし、これにするか」

「決まったか?」

「おう!」



まだあいつらの話を全て受け入れたわけじゃない。
けれども服(着物)やら箸やら、物は古いものばかりだけれど、買い物を進めていくうちにいくらか気分転換になったのか、私はいつの間にか鼻歌を歌っていた。



「~♪」

「ご機嫌だね」

「まぁ、次はどこ行くのさ?」

「……」

「ん? おーい、風見透?」

「……キミさ」

「何?」

「黙ってたら可愛いのにね」

「……。悪かったな、口が悪くて!」

「はいはい、じゃあ次いくよー」

「いや、だからどこ行くんだよ」



相変わらず失礼極まりない男だな。

絶対にコイツとは仲良くなんか出来ないな。つーかいつかハゲてまえ、チャラ男が。
と、そんなことを思いながら私は心の中でアカンベーをした。






「――はぁー、買った買った…」

「その荷物持ってんの俺なんだけどね」

「有り難く思いなさい」

「はいはーい、風見透さまさまーどうもありがとう!」



只今、風見透が2人います。
買ったものを片っ端から持たせてしまっているため、流石に一人では持てないということになり、そこでボン!と増えた風見透第2号。
なに?「忍者」ってなんでも出来んの?



「まーまー、今日のお礼にご飯か何か作ってあげるからさー」



とにもかくにも買い物も無事に終え、帰路につく私達。

一応この風見透の世話になったことだし、何かしらのお礼はしなければならない。
あぁ、私ってなんて優しい。

そんな自分にうっとりしながら、手の塞がった二人の風見透の為に引き戸を開け、部屋に入れる。
このまま終われば良かったのに、

適当に荷物を置いた風見透が二人同時に発した言葉にまたもや私の怒りゲージが上がってしまった。



「「食べれんの?」」

「しばくぞ!」



失礼な!
料理ぐらい出来るわ!





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