「…っ!?」

「なっ!?」




そんな時だった。

周りが霞んで来て、自分が消えそうになっていた…。

それに驚いていた柚木だが、私はそれほど驚かず寧ろ落ち着いていた。

何となくそんな気はしていたから…。




「どうやら、時間みたいだな」

「はっ? どういうこと?」

「多分、元の世界に帰れることになったんじゃないのか?」

「そんな、急に? なんで…」



なんで? と不安そうな顔をする柚木に「そんなこと知るか」と言ってやる。

でも、もし私の予想が当たっているのなら
やるべき事を終えたからなのなら…

私は、喜んで帰ろう。

柚木の役に少しでも立てたのなら最後まで笑って帰ろう。

だから…



「雫…!」



そんな悲しそうな顔をするな。
そんな必死に私の名前を呼ぶなよ…。

いつかまた来れるという保証はない。
来られない方の確率が高いだろう。

元々私は、こっちの世界の人間じゃない。
それが元に戻されると言うだけの話だ。

最初は、さっさとこんな世界からはおさらばしたいと思っていたはずなのにな。

今じゃ帰るのが残念に思えている。


いつの間にか柚木は、まだ一緒に居たいともう一度会いたいとそんな風に思わせる存在に変わっていたんだな…。



「空は…一緒だ」



二度と会えないお前にその言葉を贈ってやろう。
それが最後の私の使命だから…。




「帰って…きたか」




気づくと自分の部屋にいて。
窓から夕日が差していた。

見ていたらアイツの顔が浮かんで離れなくて。

「きれいだな…」

とアイツがそう言った感じに見えたから、「そうだな…」と笑って答えた。



笑って…

涙が出てきて。
アイツに会いたいとそう思った自分がいた…。



お前が諦めそうになったらいつでも「頑張れ」と言ってやる。

お前が泣きそうなときはいつでも雨の中でお前を見守ってやる。

笑っているときは一緒に笑ってやるから…。


だからいつか必ず…私を越えたお前の目を、見せてくれ…。




同じ空の下(下)<了>


(だいぶマシになったんじゃないか…?)











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