廻る時の中で




“ドンドンッ!!”

「ガル様!!ガル様ッ!!」

誰かが部屋の扉を強く叩いた。

この国の姫に仕える初老の男性は自分の名前を大声で呼ばれ、不愉快そうに扉を開けた。

そこには、姫の晩餐の支度を手伝うように言ったあの侍女がいた。

息を切らせて、瞳には涙を浮かべている。

「姫様がいなくなりました!!」

「何?!」

予想もしない答えに、彼は頭を抱えた。

いや、予想はしていた。

だから、監視代わりにこの侍女をつけた。

「申し訳ありません!!」

侍女は泣きながら謝る。

「何をやっておる!!えぇい!姫様を探すのじゃ!お前は城の者にそう伝えよ!!」

侍女は返事をすると泣きながらかけていく。