廻る時の中で



それから私達は丘へ移動した。

二人が出会った木からはそんなに遠くない場所にある。

「姫はローゼ=ウェルナンド=セルスとおっしゃるのですね」

「えぇ」

「この国も王族には名前に国名が入るのですか?」

貴方の質問に、私は頷いた。

「ローゼが私の名前です。ウェルナンドがお察しの通りこの国の名、セルスは代々伝わる王家の名です」

「ではローゼ姫とお呼びしましょう。よろしいですか?」

そう言って貴方はまた微笑んだ。

その優しい笑顔にやられてしまう。

私はもう頷くことしかできない。

貴方が微笑む度に顔が熱くなる。

このことを、貴方は知っているのかしら?