今日も私はあの木の下へ行く。 「姫様!どこにおられるのですか?!」 遠くで爺やが叫ぶ声が聞こえるけど、気にしない。 いつものこと。 人の目を掻い潜り、一目散に中庭を通り過ぎ、そっと寂れた裏口から城壁を越える。 今日こそは貴方に会えるかしら? そう思っていると、木の下に着くのは早いもので。 やっぱり貴方の姿はなくて。 私は今日もため息を吐く。