「あっ、いたいた!大西君!」
教室に響く一際甘い声に、あたしはまたウンザリする。
「うーわ出たよ、藤堂優奈!」
隣にいる栞は顔を顔をしかめて呟いた。
藤堂優奈……。
隣のクラスだけど最近よくこのクラスに来ては大西君にまとわりついている。
大西君はあからさまにウザそうだけど、藤堂さんは特に気にせず話しかけている。
「あの子ってもともとああいう子みたい。こりゃー女子から嫌われるタイプだね。」
栞は藤堂さんを顎で差して言った。
ああいう子、ていうのは多分「ぶりっこ」て言いたいのだろう。
実際女子からはもう陰口叩かれちゃってるし……。
「いいの?大西君取られちゃうよ。」
「えっ…!?」
栞の言葉にヒュッと心臓をつかまれた気がした。