「なんなんだよこれ……!」


俺は体育倉庫から出ると、胸ぐらを押さえつけながら足早に教室に向かっている。


心臓の音が体中に響きわたっている…。


振動さえわかるほど。


「…くっそ…!」


最近赤坂と関わるとよくおこる。


他のやつにはそんなことないのに……!


アイツの前ではなんか調子狂うっつーか……。


多分…あの時からだ。


アイツと保健室で2人になったときに、俺に押し倒されたアイツは泣きながら……


俺に初めてをやると言っていた。


その瞬間、俺は何かに胸を突き刺されたような感覚がした。


不覚にも、アイツの泣き顔を綺麗と思ってしまって……


一瞬見とれそうになった…。



最後までしてやろうと思ったのに、できなかった。


それ以来、あの時の泣き顔が頭から離れなくて……

思い出すたびに俺の胸をしめつける…。


血が騒ぐ感じとは違って……


グッと体が熱くなるような、苦しくなるような…。


俺は小さい頃から、赤ずきんに復讐をすることを心待ちにしていた。


「赤ずきんの純潔を奪う」


俺の家系は代々そうやって教えられてきた。


……なのに…!


あれ以来、アイツを目の前にすると…どうも……本調子じゃねえっつーか…… 


自分でもわかんねえけど何かがおかしい。