「奏…ね。あの…」 奏の可愛らしい声が、私しかいない廊下まで響き渡る 「好きな人がいるの。それでね、その人はね…大吉くんじゃ、ないの」 見えないはずなのに鮮明に目に浮かぶ 奏の困った表情。 告白なんてされ慣れているはずなのに そうやって…純粋なふりをして… 私の中の悪魔がそう囁いたのを 誰よりもわかっていたのは私で 誰よりも見てみぬふりをしたのも私だった