夏のわすれもの

「ちょっと沙也香!?」


「っ…!?」


驚いて目を見開くと、そこには母の顔があった。


「あんたどうしたの。急に眠りこけちゃって。そんなに疲れていたの?」


「………。」


私は何も答えることができず、ただ麦茶の入ったコップについた水滴を眺めていた。




すっかりぬるくなってしまった麦茶を喉に流し込み、母と談笑していた。


「それで…急に東京の大学に決まって。ぷっつり連絡が途絶えて。電話が鳴るたびドキドキしていたのよ」


母はどこか切ない表情をして言った。


「ごめんなさい。あんまりにも楽しくて…うん」

詰まった私は、言葉を濁した。


それをしっかり見逃さなかった母は、本当に偉大だ。