夏のわすれもの

よっこらしょ、と座布団の上に座る。


すぐに母が冷たい麦茶を出してくれた。


「ありがとー…」


私は気の抜けた返事をして、額に手の甲をあてた。


ごろり、とそのまま寝転がり、天井を見上げる。


リーン…と懐かしい音を響かせる風鈴。


相変わらず、うるさい蝉。


水道の蛇口からひっそりと顔を出して落ちていく、水滴。


なにもかもが、私に夏を告げていた。









そのまま、私は眠っていたんだろうか。


知っているけれど、知らない景色が目の前に広がる。