夏のわすれもの

声の聞こえた方向に歩いて行くと、母親と父親がいた。


「…なんだ、畑にいたのね。家にいるのかと思ってた」


私が何気なく話していたら、父がひょっこりと顔を出して言った。


「おまえ、全く家に顔見せねえもんだから、てっきり死んじまったのかと思ったよ。生きてんなら、少しくらい顔見せろバカやろう。」


頭ごなしに私を叱る父を、母はなだめながら言った。


「父さん、あんまり叱らないでやってよ。ねえ?沙也香がせっかく帰ってきてくれたんだから…。さあ、疲れたでしょう?家に入りましょうか」


母は私の背中に手を回して、ひっそりと小さな声で言った。

「父さん、沙也香が帰ってくるのすごく楽しみにしてたんだから」