夏のわすれもの

ジワワ…と蝉の鳴き声。


相変わらず、田舎の夏は暑かった。


「久しぶりだなぁ…」


無人駅を通り抜け、錆びた階段を降りていく。



階段を降りると、そこはコンクリートではなく土。


辺り一面、田んぼだ。


こんなところに、どうして駅なんて作ろうと思ったのか、不思議になるほど田舎だ。


でも、田舎特有のこの空気は嫌いじゃない。


抜けるような青い空に、少しだけ手をかざすと、自分の手も青くなったような感覚に陥った。