それでも理玖ちゃんの隣にいるきょんはすごく幸せそうで、反対出来るはずもなく、このまま理玖ちゃんがきょんだけを見てくれたらと、願わずにはいられなかった。
「そう言えば、この間の葉山さん、凛に何の用事だったの?」
「え?あ、うん。ちょっと……」
「彼女、あまり良い噂聞かないのよね」
「……そうなんだ。ねぇきょん。壱樹と美月ちゃんって仲悪いのかな?」
「噂では相当悪いみたいよ。葉山君の実家、日本舞踊の葉山流の師範らしいんだけど確執が凄いみたいで。そんなギスギスした家系で育てば、仲も悪くなるのかしらね」
「日本舞踊の師範って……やっぱりただ者じゃないんだ。せっかく血を分けた二人だけの兄妹なのに、そんな運命は悲しいね」
壱樹をズタズタに傷つけてと言ったあの時の美月ちゃんの表情は、思い出すだけで背筋が凍りそうで怖かった。
………家庭の事情?日本舞踊の世界なんて想像も出来ないけど、きっと厳しい環境なんだと思う。
そんな最中、事件は起こった。
