二度目の恋の、始め方


「不安そうな顔だね。誰が勉強教えたと思ってるの?凛は精一杯頑張ったんだからさ、後は自分を信じるしかないんだよ」

「……うん」

「良い結果が出れば、お礼楽しみにしてる」

そう言って、めったに魅せない微笑みを浮かべた壱樹は、私の頭をひと撫でして裏庭から去って行く。何が良いのか、想像もつかないお礼の要求に困惑していると。

「あの鬼畜な葉山君でも、凛の前だと笑うのね。ホント、冷酷王子をあそこまで虜にするなんて無自覚の凛が怖いわよ」

「ん?」

「……何でもない」

きょんの寂しそうな顔を見てると、きょんにそんな顔をさせる理玖ちゃんにふつふつ怒りがこみ上げそうになる。

中学の頃の理玖ちゃんは来るもの拒まず、去るもの追わずの性格で、お金さえ払えば付き合ってくれるとか、変な噂が飛び交っていたけど。高校に入ってからも、変わらないんだね。だからこそ本心を言えば、きょんの恋は心から応援出来ない。

「あ~あ、馬鹿だよね~。よりによって楠木理玖を好きになるなんて」

「……きょん」

「でも優しいのよ。冷たく突き放してくれたらどんなに楽だろうって思うのに」

そう言って舌を出してイタズラっ子のように笑うきょんに、チクッと胸が痛んだ。