慌ててきょんの口を押さえて、話を誤魔化そうとする私を見て、納得いかなそうな顔で眉間にシワを寄せる壱樹。さすが天才は簡単に誤魔化されそうにない。
「ふぅん。気になるけど君達の話は見るからに面倒そうだから良いや。それより理玖、別の女と飯食ってたみたいだけど」
「え!?」
「そう」
相変わらず空気を読まない壱樹のストレート過ぎる言葉。驚いてきょんを見ると、まるで知っていたかのような素振りでお弁当を食べ進める。
「きょん、どういうこと?」
「別に葉山君が言ったとおりの意味だよ。今日は理玖君、他の子と食べるんだって」
「他の子って………」
「余計なお世話だけど、あいつはやめときなよ。あんたみたいな世間知らずのお嬢さんが手に負えるような男じゃないから」
「壱樹!やめなよ!」
「いいよ、凛。わかってるから」
必死に絞り出したような、きょんの声。俯いたまま、お箸を持つ手が震えてる。
「そんなの分かってます。最初から理玖君が私に本気じゃないってことくらい」
「知ってて付き合ってんだ。……ハァ。救いようがないね、まったく」
「っ、葉山君だって分かるでしょ?好きで好きでどうしようもなくて、
でも振り向いて貰えない、苦しみや屈辱」
「……あんたと一緒にされるのは不愉快だけど、まぁ否定はしないね」
