だからこの間の壱樹の言葉、俺ならドン底の生活から助けてやれる。
その言葉にとても嫌悪感を抱いたんだ。
そう言えば、付き合ってた頃の雄大は一度も自分が大病院の院長の息子だって公にしなかったし、お金持ちを鼻にかけることもしなかった。デートも必ず割り勘で、そういうところも好きだったんだよね。
「なぁに、思い出し笑いしてるの」
「……え?」
「凛ったらいやらし~い」
「もう!きょん!」
風で靡くロングの黒髪をおさえて意地悪く笑うきょんは、真っ赤になる私の顔を見てさらに大爆笑してるし。完全にからかわれていることに溜め息をついて、お弁当の唐揚げを食べようとしたら、
突然伸びてきた手に、それを奪われる。
「………うまいけど、ちょっと揚げすぎ」
「あ、壱樹」
ベンチに座る私のすぐ後ろの背もたれに両手をついて、そんな可愛くない発言をする壱樹は私の顔をまじまじと覗き込んでくる。今日も清潔感あふれる身のこなしで、それがよけいに壱樹の綺麗さを引き立たせる。
「顔赤いけど、何話してたの?」
「葉山君、聞いてください~凛が……」
「ちょっ、きょん!な、何でもないよ!……えっと、いい天気だね、今日……はは」
