二度目の恋の、始め方


そんな最中でも宮路院長はいたって冷静に私が掴んでいた白衣の裾を直すと、今にも殴りかかりそうな雄大と向き合う。

「何をそんなに怒ている。全部お前の為だろう。大事な時期に恋愛などにうつつを抜かしているヒマはないと言ってるんだ」

「っ、んだと……テメェ」

「これは川嶋さんも了承したことだ」

「………あ?冗談だろ。なぁ凛」

ベッドの上で放心状態の私を見て、そう吐き捨てた宮路院長。雄大の茶色がかった瞳が、私を捉えて悲しそうに揺らいでいる。その瞳から逃げるように俯いてしまえば返ってきたのは壮大な舌打ちで。

「ごめ、なさい……ごめ……」

「お前何なの。この間から謝ってばっかりで。俺の目ぇ見てちゃんと話せよ」

「…………」

「凛っ!!」

雄大の声にビクッと肩が上がる。

言いたいことはたくさんあるのに全部喉につっかえて上手く言葉に出来ないの。隠し通せなかったのは私の責任で、結局、雄大を二重に傷付けてしまっただけ。本当、最低の中の最低だよね、こんな仕打ち。

……ごめんなさい……雄大………


「あらあら騒々しいわねぇ~。雄ちゃんも、ここは病院よ。静かになさいね」


そんな場面に突如として現れた和服の女性。淡いピンク色の着物に漆黒の髪は綺麗に後ろで纏めてある。白い肌に映える真っ赤なルージュ。少しつり気味の大きな瞳が私を捉えて、妖艶に細められた。