中学三年の時、好きな奴が出来たから別れて欲しいと、突然俺のもとから去っていった凛。あの時は気が動転して、まともにアイツの話を聞いてやれなかったけど今考えると、バスケづけの毎日でアイツには随分寂しいをさせてきたと思う。


愛想尽かされても仕方ねぇけど………


ナゼか凛は、別れて半年以上たつ今でも、その天然キャラで俺をイラつかせている。


「……ハァ、勘弁してくれ……」


頭を抱えながら、靴箱のあるガラス張りの正面玄関を通り過ぎようとした時、乱雑に脱ぎ捨てられた女物の靴が目に留まった。


こんな時間に、校舎に誰か居るのか……?


イツキの電話からずっと消えない胸騒ぎ。一抹の不安を抱え、もしかして凛に何かあったのかとイヤな予感が頭をよぎれば、自然と足は薄暗い校舎の中へ向かっていた。