「嫌だったら、逃げて。」 そう言うと、オレンジジュースを一口、口に含んだ。 そのまま、ゆっくり彼の整った顔が近づいてくる。 …え? セミの煩く鳴く声。 ドッチボールの歓声。 照りつける太陽。 なんかもう、全てがスローモーションに感じた。 デコが微かに触れる。 …あっ、ちかい…… 全身に、熱が回る。 もう、残り数センチもない。 唇が、重なってしまいそうだ…─。