「あの。ここに行きたいのですが。」
私は住所の書かれた紙を渡した
「ついてきて。」
男の子はそう言って私の前を歩いた
30分ほど無言で歩いた
すると海の前に何軒か家が並んでいる道に出た
「ここ。」
男の子は私の方に顔だけ向けて
そう言ってまた歩き出した
ここが私の家。
「あっありがとうございました。」
私は少し大きな声で言った
そして恐る恐る家のドアを開けた
「お邪魔しまーす。」
蚊取り線香の匂いがする。
「海香ちゃんか?いらっしゃい」
「おばあちゃん‼︎」
おばあちゃんは今、54歳。
まだまだ元気なおばあちゃん。
「暑かったでしょ?早く上がりなさい」
おばあちゃんは私の荷物を持ってくれた
おばあちゃんの家、久しぶりだな
前に来たのは5年生の時だけ。
「麦茶どうぞ。」
「ありがとう。おじいちゃんは?」
「港にいるよ。」
おじいちゃんは漁師さん
この街のほとんどの男の人が漁師だと
思う。
