慌てて見回ると、相崎のイスの下に転がっていた。

うわぁ…どうしよう。

冷たいんだよね、無視されたりしたらどうしよう…。

話しかけにくい。

相崎が帰ってから拾おうかな、と思ったけど、まだ帰る気配はないし…。

「ね…ねぇ」

勇気を振り絞って話しかけると、黙ったままこっちを向いた。

「イスの下に…ストラップ、落としちゃっ…」

最後まで言い終わらないうちに、相崎はそれを拾って、あたしに差し出してくれた。

「あ、ありがと…」

相崎はなにも言わずに、そのままあたしの横を通って教室を出ていった。

あたしは無意識に振り返って、そのうしろ姿を見つめる。

「未音?…未音!」

瑠奈の声にハッとする。

「一緒に帰ろ?」

「あ、うん」

「とうしたの?ボーっとしちゃって」

「わ…わかんない」

「ヘンなの〜」

あたしどうしたんだろう?

全身が脈打って、相崎のうしろ姿が目に焼きついて離れなかった。