でも、滝本くんにとっての私はただの隣の席の人ってわけで、特別仲がいいってわけじゃないのはわかっている。
今朝だってなんとなく英語の宿題のこと聞いて、私がやってなかったから貸してくれたっていうだけで。
「滝本くん、好きな人いるのかなぁ………」
無意識に出た言葉にハッとすると、蘭ちゃんがいつもの無表情でこちらを見つめていた。
「あ、いや、えっと、深い意味は全然そんななくて………っ」
慌てて否定すると、蘭ちゃんは
「そんな真っ赤になって否定しても説得力ないわよ」
と再びご飯を食べ始めながらそう言った。
「え、顔赤い?」
「うん。真っ赤」

