それに続くように私も歩き出し、教室へと入る。



そして自分の席に向かうためにひとつ、深呼吸。



「っ、おはよ」



なるべく平静を装って、隣の席に座る滝本くんに挨拶する。



すると滝本くんは少しだけこちらに視線を向けた後、



「………はよ」



と小さく挨拶してくれた。



き、今日も挨拶できた。



変な顔、してなかったかな。



乱れてもない前髪を触りながら、そんなことを思う。



すると、隣の滝本くんが「それ……」と小さく呟いた。



「ん?」



「それ、癖なの?」



滝本くんは頬杖を付き、こちらを横目で見ながらそう言う。



「癖?」



滝本くんの言った言葉が理解できずそう聞き返すと、滝本くんはちょんちょん、と自分の前髪を触った。



そのジェスチャーで、私は無意識のうちに前髪を触っていたことに気がつく。