「佐原、」 滝本くんがそう声をかけてきたのは、放課後のことだった。 「ん?」 私は平静を装いつつも、未だに滝本くんの方は見ずに帰りの支度をする。 「…………一緒に来るか?」 滝本くんのその言葉に、ピタ、と帰り支度を止める。 来るか?来るかって、どこに? 一緒って、誰と?滝本くんと? 「えっと………どこ、に?」 さっきまで全然滝本くんの方を見れなかったことが嘘のように、私はパッと滝本くんに視線を移す。 するとガサゴソとカバンの中を漁ったあと、 「ん、」 と言ってひとつの袋を取り出した。