照れた時に眉根を寄せてそっぽを向くのは、蘭ちゃんの癖だった。
たぶん、幼馴染の私にしかわからないこと。
私がご飯を食べ終え片づけると蘭ちゃんは立ち上がって、
「ちょっと、昼休憩中に先生に呼ばれてたから行ってくる」
と言って歩いて行ってしまった。
……まだ12時45分か。
午後からの授業は13時10分からで、時間は結構残っていた。
暇だなー。
ぐるりと周りを見渡した時、窓の外に滝本くんの姿があった。
滝本くんはパンがいくつか入った袋を持っていて、それを見た私は“あの時”の光景を思い出す。
あ、またあの場所に行くのかな……。
そう思った私は急いで靴箱に向かって靴に履き替えた後、滝本くんが行った方に走る。

