「…あなたは誰?」




絞り出した声で目の前の彼に問う。



どうして私に声をかけたの?


こんなに人通りが多いここでも私に声をかけてきた人は誰一人いない。



そしてここは暗くてわかりにくい。



「こんなところにいるとあぶねぇぞ。」



「…。」



けれど、中々体が動かない。


鉛のように重い。