言った後に、すぐに後悔した。
なに聞いてるんだろう……。
可笑しいって思われちゃったかな……
「あれ、知らなかった?」
「下のな、まえは……」
「ああ、そっか。畑ちゃんには三尾先輩って呼ばれてるからなぁ」
彼は腕を組んで納得したように何度か頷いた。
そんな彼を横目に見ながら、あたしは胸の高鳴りを必死に落ち着かせる。
「悠夢、ちゃん」
「は、はいっ」
いきなり呼ばれた名前に、落ち着きを取り戻しつつあった胸はまた飛び跳ねる。
顔をまた、上げると。
「俺ね、風って言うの。三尾風。よろしくねん♪」
笑顔であたしに手を差し出す、彼の姿があった・・・ー-
「あっ、はい……」
その手を掴もうと手をそっと伸ばすと、
「へへっ、騙されたー♪」
その手をギュッと掴んだ彼がグッとあたしを自分の方に引き寄せた。
「わっ」
簡単に彼の腕の中にすっぽり捕まるあたし。


