脱☆年下系男子<番外編Ⅰ>







「「あっ……」」


 二人の声が見事に重なる。



「うわっ、どうしよー」


 焦りながらガラスに手を伸ばした時、

「ちょ、危ないって!」


 さっきまでキッチンの入り口に立っていた彼の手が、あたしの手を掴んだ。



「……ったく、これ割れてるんだから。手、切ったらどうすんだよ」


 はぁー、と呆れたようにため息を吐く彼。



「……大丈夫だよ、これくらい」


「いーや、まだ中学生だろ。危なすぎる」


「中学生関係ないしっ!」


 子供に見られているのが気に入らなくて、バッと顔を上げて彼の方を向いたら。




「っ!」

 バチッと合った視線。

 近い顔。


 不意打ち過ぎて、ドキッとしてしまった。


 だから、すぐに視線を逸らす。



「どしたー?」

 彼は不思議そうにそう言って、あたしの顔を覗こうとする。

 それも避けながら、つい出てしまった言葉。


「な、名前っ!」


「は?」


「名前、なんて言うんです、か……」