だけどすぐ、お姉ちゃんの方を向いて異議を申し立てようとした。
・・・その時。
「うっわぁー、君が悠夢ちゃん?俺ねっ、俺ねっ」
気にもしてなかった守さんの隣から声がして、あたしは驚きながらそちらを見た。
誰だ、こいつ。
それが、第一印象だった。
機嫌な目で見つめるあたしとは違って、彼はあたしの手をギュッと握り、
「やっぱ畑ちゃんの妹、美人だねぇ。あの時もなんとなくそう思ったけどっ!」
なんて、笑顔を一つ。
あの時ってのはよく分からないけど、話すのが初めての、言わば〝初対面〟なのになんだ、この馴れ馴れしさは。
「ね、ねえ、お姉ちゃん。このチャらいヤツ、誰?」
驚いたあたしの口から出た、本音。
それを聞いたあいつは、ブハッと吹き出した。
「あははっ、君いいねぇ。面白い、気に入ったっ♪」
「いや、なんなの」
困惑しているのに、誰も助けてくれない。
そのことに不満を抱きつつも、こいつをどうしようかと考えていた。
そんなあたしに向かってこいつは、満面の笑みを浮かべてこう言う。
「……付き合って?」


