事の始めは、3日前。


 お姉ちゃんの学校がテスト週間に入ったことからだった。


 家にはお姉ちゃんの他に、和葉ちゃん、渉くんのお兄ちゃんの守さん、そして……あいつ。

 まあ、3人のお客さんが来るようになったのだ。


 あいつと守さんは3年生。

 だからいくら仲が良いからって2年生と勉強するのはどうかと思う……なんて思ったりした。


 だって、教え合いとか出来ないだろうし……。

 勝手な決めつけだったんだけど、これは後で、当たってるなと確信した。




 まあ、とにかく。

 朝からお客さんが来ることを知っていたあたしは、玄関がうるさくてもなんとも思わなかったんだ。




「悠夢~っ、お茶持ってきてね」


 ……お姉ちゃんのこの言葉がなければ、きっとあたしはまだ失恋に浸っていられたのに。





「はあ!?嫌だよ、そんなの」


 聞いてもいなかった言葉に、当然あたしは玄関に走って行った。


 そこで見た人達。



「あっ、悠夢ちゃん」


「あ、ども。和葉ちゃん」


 前から顔見知りだった和葉ちゃんに挨拶。



「初めまして、悠夢ちゃん」


「ああ、初めまして」


 こちらは初めましての守さんで、ペコッと軽く頭を下げた。