脱☆年下系男子<番外編Ⅰ>







 結局、今までの会話は風さんの〝自慢話〟でしかなかったらしい。



「まあまあ、そういうことだよ」


「……そーですか」


 適当に返事をすると、あたしはすくっとその場から立ち上がった。


 ほうき、取って来ようっと……。



「どこ行くの?」


 そんなあたしを見た風さんは、あたしと同じように立ち上がってそう聞いてきた。



「ほうき、取ってきます」


「あー、じゃあ俺もっ」


 別について来なくても……


 そう思ったけど、断るのが面倒臭くなったあたしは、座敷にあったはずのほうきを取るためにリビングを出た。

 もちろん、風さんも。



「はあ……お母さんに怒られちゃうかな」


「まー、悠夢ちゃんに何もなかったんだし、いいんじゃね?」


「そんな優しいお母さんだったらいいけどなぁ」


「優しくないの?お母さん」


 廊下を歩きながら、風さんと他愛もない会話をする。


 ……不思議。

 いつの間に、仲良くなっちゃったんだろう。



「優しいよ?でも、ちょっと変なところあるし……」


「変?」


「天然……ていうか、抜けてるっていうか……変なところ厳しいし」