結局、今までの会話は風さんの〝自慢話〟でしかなかったらしい。
「まあまあ、そういうことだよ」
「……そーですか」
適当に返事をすると、あたしはすくっとその場から立ち上がった。
ほうき、取って来ようっと……。
「どこ行くの?」
そんなあたしを見た風さんは、あたしと同じように立ち上がってそう聞いてきた。
「ほうき、取ってきます」
「あー、じゃあ俺もっ」
別について来なくても……
そう思ったけど、断るのが面倒臭くなったあたしは、座敷にあったはずのほうきを取るためにリビングを出た。
もちろん、風さんも。
「はあ……お母さんに怒られちゃうかな」
「まー、悠夢ちゃんに何もなかったんだし、いいんじゃね?」
「そんな優しいお母さんだったらいいけどなぁ」
「優しくないの?お母さん」
廊下を歩きながら、風さんと他愛もない会話をする。
……不思議。
いつの間に、仲良くなっちゃったんだろう。
「優しいよ?でも、ちょっと変なところあるし……」
「変?」
「天然……ていうか、抜けてるっていうか……変なところ厳しいし」


