脱☆年下系男子<番外編Ⅰ>







「…………はっ?」


 一瞬、本当に何を言われているのか分からなかった。



 萌える?萌えるってどういうこと?

 〝風さん〟と呼ぶのが萌えるとでも言いたいの?



「ど、どこに萌える要素が?」


「俺ね、まあこんな性格だしイケメンだし?周りに両手には収まらないくらいの女子が群れるんだよ」


「はあ……」


 ため息か相槌か、自分でもよく分からない返事を返す。



 自分でイケメンって言うか?

 なに、その俺はモテますよアピール。


 そんなことね、言われなくても分かってますから!


 一瞬でもこの人にドキドキしていた自分が恥ずかしくなる。



「でも、一回も〝風さん♡〟なんて言われたことないわけ。風くんとか風とか、三尾先輩とかね」


 気のせいだろう。

 風さんの後ろにハートが付いていたのは。


 何にせよ、だから何?なんだけど。



「で?だからなんなんですか」

 あたしはため息を混ぜながら結論を急かす。


 これ以上、自慢話を聞いていたくないからだ。



「だから……萌えた!」


「……意味分かんない」