「…………はっ?」
一瞬、本当に何を言われているのか分からなかった。
萌える?萌えるってどういうこと?
〝風さん〟と呼ぶのが萌えるとでも言いたいの?
「ど、どこに萌える要素が?」
「俺ね、まあこんな性格だしイケメンだし?周りに両手には収まらないくらいの女子が群れるんだよ」
「はあ……」
ため息か相槌か、自分でもよく分からない返事を返す。
自分でイケメンって言うか?
なに、その俺はモテますよアピール。
そんなことね、言われなくても分かってますから!
一瞬でもこの人にドキドキしていた自分が恥ずかしくなる。
「でも、一回も〝風さん♡〟なんて言われたことないわけ。風くんとか風とか、三尾先輩とかね」
気のせいだろう。
風さんの後ろにハートが付いていたのは。
何にせよ、だから何?なんだけど。
「で?だからなんなんですか」
あたしはため息を混ぜながら結論を急かす。
これ以上、自慢話を聞いていたくないからだ。
「だから……萌えた!」
「……意味分かんない」


