「なんでほっといてくれへんの?!」


ナツが怒りで声を震わせながら言った。




「お前そんな言い方…」


アキはナツに怒鳴る勢いだ。


『アキ!いいねん…
ナツ…ごめん……』


アキがナツに言う前に私はナツに頭を下げ、それを阻止した。



するとナツは涙を流しながら話し出した。


「…なんで忘れさしてくれへんの…
記憶ないフリしてたら…
誰もあの事には触れてこうへんし…
このままケン君もうちに関わらんでいいし…
…それやのに…」



パチンッッ―…


あっ…


思わずやってしまった…―


ナツは左の頬に手をあてていた。



『ナツは確かに一番辛いかもしらん。
けど、あたしらだって兄ちゃんだって辛いねんで!!
でも…現実を受けとめて前に進もうとしてんのに、ナツは何なん!?
ただ逃げてるだけやん!!』

あぁ…
言ってしまった…―


ナツは何も言わず去って行った―…