バッグもなにも持っておらず、 上着のポケットに手を突っ込んだまま。 格好のわりには品良く脚を揃えて 少し左側に傾けていた。 電車の中の吊り広告を、 爛々と輝く瞳でみつめる横顔。 いつしかその化粧っ気のない横顔に釘づけになった。